【春日部で始める終活講座⑧】お子様がいないご夫婦は要注意!「全財産を妻(夫)に」という遺言書がないと起こり得る思わぬ事態

「私たち夫婦には子供がいないけれど、お互い長年助け合ってきたから、万が一の時は当然お互いに全財産が引き継がれるよね」

春日部市内でご相談をお受けしていると、このように考えていらっしゃるご夫婦にとても多くお会いします。

しかし、これは法律上、大きな誤解です。

実は、お子様のいないご夫婦こそ、遺言書(いごんしょ)が最も必要なご家庭なのです。
もし遺言書がないままどちらかが亡くなってしまうと、残された奥様(またはご主人)が、大変な苦労や思いがけないトラブルに巻き込まれてしまうリスクがあります。

今回は、子供がいないご夫婦の相続の仕組みと、大切なパートナーを将来のトラブルから確実に守るための「遺言書の役割」について、分かりやすく解説します。

1. 子供がいない夫婦の財産は、誰に引き継がれるのか?

「遺言書がない場合、亡くなった人の財産を誰がどれくらい分けるか」という法律上のルール(法定相続)では、配偶者だけでなく**「亡くなった方の血族」**も一緒に相続人になります。

具体的には、以下の順番で優先順位が決まります。

  1. 【第1順位】お子様や孫(いない場合は第2順位へ)
  2. 【第2順位】ご両親や祖父母(すでにお亡くなりの場合は第3順位へ)
  3. 【第3順位】兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子供=甥・姪)

つまり、お子様がおらず、ご両親もすでにお亡くなりになっている場合、「残された配偶者」と「亡くなった方の兄弟姉妹(または甥・姪)」が一緒に相続人になります。

これの何が問題なのでしょうか?

遺言書がない場合、亡くなった方の銀行口座を解約したり、ご自宅の名義を配偶者に変更したりするためには、**「相続人全員」で集まり、「誰がどの財産をどれだけ引き継ぐか」を話し合って判コを押す(遺産分割協議)**必要があります。

つまり、長年暮らしてきた自宅を守るためだけでも、義理の兄弟姉妹や、普段あまり交流のない甥・姪全員に連絡をとり、書類に実印を押してもらう交渉をしなければならないのです。

2. 実際にあった「遺言書がなかったため」に起きた悲劇

ここで、実際に多く発生しているケースを一つご紹介します。

【ケース:70代B様(女性)の場合】

お子様のいないB様ご夫婦。ご主人が突然お亡くなりになりました。
ご主人の名義だった「春日部市内のご自宅」と「預貯金」をB様の名義に変更しようと手続きを始めたところ、ご主人の妹2人が相続人であることが分かりました。

B様は妹様たちに連絡を取り、「夫婦で買った家なので、名義を私に変える書類に判コを押してほしい」とお願いしました。
昔は仲が良かったものの、ここ最近は疎遠になっていた妹様たち。すると、妹の一人から思いがけない返答が返ってきました。

「兄の遺産なんだから、法律で決まっている分(法定相続分)は欲しい」

ご夫婦の財産のほとんどは「自宅(不動産)」でした。B様には妹様たちに支払うための十分な手元現金がありません。
結果として、B様は慣れ親しんだ春日部のご自宅を手放して売却し、売却益から妹様たちに法律上の持ち分を支払わなければならないかもしれない……という窮地に立たされてしまったのです。

もしご主人が生前に、「すべての財産を妻に相続させる」というたった1枚の遺言書を書いていれば、このような悲劇を防ぐことができました。

3. 「全財産を妻(夫)に」という遺言書が持つ、絶大な効果

「でも、遺言書を書いたとしても、兄弟姉妹から『自分たちの取り分をくれ』と言われたら拒めないのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。

ここで知っておいていただきたい、とても重要な法律の知識があります。

それは、**「兄弟姉妹には『遺留分(いりゅうぶん)』がない」**ということです。

遺留分とは?

「遺留分」とは、亡くなった方の配偶者や子供、親だけに法律上保証されている「最低限の財産の取り分」のことです。

しかし、兄弟姉妹(および甥・姪)には、この遺留分が一切ありません。

そのため、お子様がいないご夫婦であれば、「妻(夫)にすべての財産を相続させる」という遺言書を1枚用意しておくだけで、配偶者にすべての財産を100%安全に遺すことができるのです。

この遺言書があれば:

  • 義理の兄弟姉妹と遺産分けの話し合いをする必要はありません。
  • 義理の兄弟姉妹から「判コを押す代わりの現金」を請求されることもありません。
  • 銀行の手続きや不動産の名義変更も、配偶者お一人でスムーズに行えます。

つまり、**遺言書は「愛するパートナーが、自分の死後に困らないようにするための最大の思いやり」**なのです。

4. 「仲が良い兄弟だから大丈夫」が一番あやしい理由

「うちの兄弟姉妹はみんないい人だし、お金で揉めるような関係じゃないから大丈夫だよ」とおっしゃる方も多いです。

ですが、時の流れとともに状況は変わります。
ご自身の兄弟姉妹も高齢になり、万が一亡くなってしまった場合、代わりに相続人になるのは**「甥や姪(おい・めい)」**です。

甥や姪世代になると、あなたや配偶者との付き合いはさらに薄くなっていることがほとんどです。また、相手の配偶者や生活事情も絡んでくるため、「法律上の権利だからもらえるものはもらいたい」と主張されるケースが後を絶ちません。

元気で仲が良い「今」だからこそ、将来のパートナーの平穏な生活を守るために、しっかりとした形(できれば不備の心配がない公正証書遺言)で遺留分のない遺言書を作っておくことが大切です。


【まとめ】大切なパートナーへの一番のプレゼント

  1. 子供がいない夫婦は、遺言書がないと「兄弟姉妹(甥・姪)」が相続人になる
  2. 名義変更には義理の親族全員の「実印と話し合い」が必要になり、トラブルになりやすい
  3. 兄弟姉妹には最低限の取り分(遺留分)がないため、遺言書1枚で「全財産をパートナーへ」確実に遺せる

「何から手をつければいいか分からない」「自分の家庭の場合はどうなるんだろう?」と思われた方は、まずは一度専門家へご相談ください。


ご家族の「安心の未来」のために、はじめの一歩を踏み出してみませんか?

「うちの家族構成の場合、どんな文面にすればいい?」
「自分で書く手書きの遺言書と、公証役場で作る遺言書、どちらがいいの?」

そのような疑問や不安をお持ちでしたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
当事務所は、難しい専門用語を使わず、お客様のお気持ちに優しく寄り添う相談を行なっております。


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